カブのかーぶん

ショートショート

「 “でーこん” じゃないってば!」

かーぶん、プンプン声で否定する。
今日もどこかでまた
 “かーぶん” を “でーこん” と間違える。

かーぶんは、はくさんに近い親戚。
でーこんとは親戚だけどめ〜っちゃ遠い。

見た目が似てるって…ちょと面倒。

どっちも、赤い子が居たり、ちっこいのが居たり…で、とっても紛らわしい。

『赤かぶ』(あーぶん)が居るからさらに紛らわしい。
あの子は、でーこんの親戚。
でも、似てるから…って言う理由で、
 “かぶ” が名前についてる。

はぁ…。

思わずタメ息がこぼれてしまう。
間違えられない日は来るのだろうか…?
プンプンするのも疲れてしまう…。

「オラは知ってるだ〜」

そう言って、いつの間にやら横に居たごんぼー。
かーぶんの葉っぱに付いた土を払う。

「かーぶんは、かーぶんだぁ。誰が何を言っても ほかにはなれねぇ〜」

「ごんぼー…」

「プンプンかーぶんは勿体無いべよ〜。ニコニコかーぶんがオラ好きだ〜。知らねぇヤツにゃプンプンする前に教えたらどうかなぁ…と思うだよ?」

かーぶんのおでこをなでて、ごんぼー颯爽と去ってゆく。

…カッコイイ。

自分を知ってくれてるお野菜がいるって、 “幸せなんだ” とかーぶん思う。

プンプンかーぶんどこへやら。
“教える” の言葉にワクワクしながら、

お散歩開始。

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